信五のジャーナル

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インフラ整備などに必要な成長資金の流入を妨げかねない。

外的ショックがアジアを揺さぶるリスクは今も残る。
マレーシア中央銀行は昨年12月、輸出で得た外貨の75%以上を通貨リンギに両替するよう国内企業に義務付けた。
あからさまな通貨防衛策はかえって、外貨準備が少ないなどの同国の弱みを市場に再認識させた。
この20年間、アジア各国は安全網構築に努めてきた。
例えば通貨危機震源地となったタイ。
経常赤字を抱えていた同国だが、自動車などの輸出産業で稼ぎ、2016年は経常黒字が468億 ドルと2年連続で最大となった。
タイ以外の国々もおおむね経常黒字化し、対外債務への依存度は低下した。
東南ア新興5カ国と韓国の16年末の外貨準備高は計8755億ドルと20年前の7倍。
借入期間1年未満の短期対外債務を全部返しても、半分以上が手元に残る計算だ。
タイを97年と同様の危機が襲うとは思わない。
タイ中央銀行のウィーラタイ・サンティプラポップ総裁は5月末、日本経済新聞の取材にこう話した。
ただ、トランプ・ショックが示したように、安全網が手薄とみなされた市場から資金は容赦なく出て行く。
安全網構築に終わりはない。
通貨下落を恐れるあまり、資本取引の自由化をためらう国もある。
民間資金を使うなら企業が恩恵を受けられるようにしてほしい。
日 本商工会議所の三村明夫会頭は1月、ベトナム政府にこう注文した。
同国事業に日本企業など外資が投資しても、自国通貨ドンで得た収益の3割しかドルへの交換を認めていないからだ。
外資は収益を本国などに還流できない状況が続き、インフラ整備などに必要な成長資金の流入を妨げかねない。